| ○田中委員長 | 次に、谷口隆義君。 |
| ○谷口委員 |
おはようございます。公明党の谷口でございます。 きょうは、金融商品取引法の改正案と資金決済に関する法律案につきましてまずお伺いをさせていただいた後に、大臣にお聞きいたしたいことがございますので、またよろしくお願いいたしたいと思います。 初めに、信用格付業者に対する規制の導入ということでお伺いをいたしたいと思いますが、米国におきまして、大変金融混乱の原因になっておりますサブプライムローン問題、この問題に端を発した金融市場の混乱の状況が今あるわけであります。 欧米では、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品の安全性に高い評価を与えた格付に対する不信、批判が高まっているというような状況でございます。信用格付は米国で始まったわけであります。投資商品の安全性を評価するというものでありますが、社債の格付については百年ほどの歴史があるという状況のようでございます。このような不信、批判の高まりの中で、欧米、また証券監督者国際機構、IOSCOでございますが、IOSCOでも規制の高まりの動きがある。その動きの中で、今回、金商法の一部改正ということになったわけでございます。 それで、これは先ほど出ておりましたが、今回、この信用格付業者を、必ず登録しなければならないということではなくて、そういう義務規定とはいたしておらないわけであります。そのことについて理由をお伺いいたしたいわけでございます。アメリカでは、信用格付業者の指定制から登録制度に変わったというように聞いておりますが、このような状況の中で、これを義務化しなかったというような理由をお伺いいたしたいと思います。 |
| ○与謝野国務大臣 |
記号や数字を用いたランクづけにより信用リスク評価の結果を提供するサービスは、格付会社に限らず広く一般に行われていることから、これらに対して参入制限を課すことは適当ではないと考えられております。このような観点から、この法案では、信用格付の付与、提供を業として行うためには登録を受けなければならないとの参入制限を設けることとはせず、登録できる規制としております。 また、無登録業者の格付の利用に際して、金商業者等に追加的な説明義務を課すことにより、金融資本市場における重要な影響を及ぼし得る格付会社の登録を確保する枠組みも整備しているところでございます。 |
| ○谷口委員 |
前に大臣がおっしゃったように、今回のこの登録制度は参入制限的なものではないということで、一定の要件を満たす場合には登録を受けることができる仕組みなんだというお話でございました。 そこで、一つお聞きいたしたいんですが、具体的な問題としてお聞きいたしたいことは、今ホールディングスを中心にする金融グループが幾つかございます。そのグループが、例えば信用格付業者を登録して信用格付を行うといったような場合に、そのグループ内の金融機関の格付をそのグループ内の信用格付業者がやり得るのか、また、そのときに登録拒否要件に当たるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。 |
| ○内藤政府参考人 |
お答えいたします。 法案におきましては、信用格付業を公正かつ的確に遂行するための必要な体制が整備されると認められない場合は、登録を拒否するということとしております。 具体的には、登録審査の段階におきまして、登録申請を行う格付会社が、独立性確保、利益相反回避のための措置を含む社内規定の策定等の体制整備を行っているか否かを確認するということが予定されているところでございます。 |
| ○谷口委員 | 今ちょっと具体的な例を出したんですが、同じ金融機関グループがあって、その中で信用格付をやりたいということで登録の申し込みがあった。それを、認可を与えたといいますか登録をして、グループ内の企業の信用格付をその格付業者が行うということは問題がないんでしょうか。 |
| ○内藤政府参考人 |
失礼しました。お答えいたします。 今の委員が御指摘のようなケースでございますけれども、これは、格付会社とそのグループの中における金融機関というのはかなり濃厚な利害関係があるというふうに推測されます。個別は個別でまた登録の時点における審査で精密に判断をされることだろうと思いますけれども、今直観的に申し上げまして、かなり問題がある、登録拒否に当たる可能性があるのではないかというふうに推測されます。 |
| ○谷口委員 |
登録拒否要件の中には明確に入っておりませんけれども、そういう問題もありますので、今局長の方からは登録拒否要件に当たるのではないかというようにおっしゃったわけでございますが、そのあたりはしっかりと立て分けをしていただきたいというように思うわけでございます。 それと、証券化商品の商品設計の過程に格付が組み込まれておるわけでありますが、金融機関と格付会社との関係が一般的にはやはり密接になりがちでございます。格付会社の中立性、客観性に問題がないというようにするためにはどのようにしておるのか、お伺いをいたしたいと思います。 |
| ○内藤政府参考人 |
格付会社につきましては、発行者等と格付会社との間に利益相反の可能性が内在しているのではないかという問題がこれまで指摘をされているところでございます。 このような問題に対応するために、本法案におきましては、禁止行為といたしまして、格付会社が格付対象の金融商品の設計など格付の評価に重要な影響を及ぼす事項について助言を行ったといったような場合には、その金融商品について格付の提供を禁止するという規定を設けております。と同時に、格付会社に利益相反防止、独立性確保のための体制整備を義務づけるというふうにいたしたところでございます。 |
| ○谷口委員 |
この信用格付ということは、数年前に我が国の国債の格付をされて我が国が大変迷惑を受けたことがあったわけでありますが、一般的に、勝手格付と言われるようなことも含めて、経済界ではよく行われておるわけでございます。この信用格付業者の問題については、経済界に与える影響が非常に大きいものでございますので、しっかりと導入をする準備をしていただきたいというように思う次第でございます。 その次に、金融ADRについてお伺いをいたしたいと思います。 今回、指定紛争解決制度の創設ということになりますと、金融ADR制度がスタートをするということでございます。これは従来は、金融でトラブルが起こると訴訟に持っていかざるを得ない、なかなか当事者間で和解ができないということで、大変な状況があったわけでございます。そうなりますと、期間もかかりますしコストもかかってくるということで、このような金融ADRができるということは大変好ましいことであると思います。 今、この金融ADR以外にいろいろな分野で裁判外紛争解決制度、ADRが行われておるわけでございますが、いろいろなことを聞いておりますと、どうもうまく稼働できておらないようなところもあるようでございます。今の全般的な稼働状況について教えていただければというように思います。 |
| ○内藤政府参考人 |
お答えいたします。 日本のADRの活動状況というお尋ねでございますが、これは、法定されているADRもございますし、一般的に民間団体が実施主体となるものもございます。それから、法務省が所管しておりますADR促進法というものに基づいて、認証を受けてADRの活動を行っているという団体もございます。それから、民間が自主的に行っているADRといいますか、苦情処理あるいは紛争のあっせんというものの活動を行っているものもございます。 各団体それぞれで行っているところでございまして、金融分野におきましても、金融商品取引法におきまして認定投資者保護団体というようなものの制度が設けられておりまして、これにより、全銀協でありますとか生保協、損保協も、金融商品取引業務に係る業務につきましてはこの団体に認定を受けて活動しておる。あるいはまた証券関係につきましては、日本証券業協会がいわゆる自主規制機関であり、また認可の金融商品取引業協会としましてADRの活動を行っているというような状況がございます。 |
| ○谷口委員 |
金融以外のことも含めてちょっと報告してもらうように言っていたんだけれども。全体のADRの稼働状況ですね。 だから、要するに私の問題意識は、このADRそのものは非常にいい制度なんだけれども、なかなかうまく稼働できていないというような状況があるのではないかということをお聞きしたいんですが。 |
| ○内藤政府参考人 |
お答えいたします。 ADRの制度につきましてはさまざまな制度がございまして、全体の数字というのは私どもあいにくつかんでおりませんけれども、例えば、法務省が所管をしておりますADR促進法という法律によります認証紛争解決事業者というものがございます。これは、二十一年二月現在で、全部で二十六の認証団体がございます。 こういった団体におきましてのADRの活動でございますけれども、紛争解決をするといいましても、当事者間のいわば任意で、それが和解案に応じるというときに初めて紛争解決が実際なされるということでございますので、やはりその実効性といいますか、そうしたものがいろいろ問題があるのではないかというふうな御指摘が従来からあったところでございます。 |
| ○谷口委員 |
今内藤局長がおっしゃったように、そういう問題点もあるので、この金融ADRは使い勝手のいいように工夫をしていただきたいと思います。制度としてはできたんだけれども、なかなか使い勝手が悪いというような状況になりますと問題があるわけでございますので、ぜひそういう仕組みづくりといいますか、お願いをいたしたいと思います。 それで、今回の金融ADR、原点に立ち返って、利用者保護の観点からどういうメリットがあるのか、お伺いをいたしたいと思います。 |
| ○与謝野国務大臣 | 金融ADR制度は、金融商品・サービスに関するトラブルについて簡易迅速に紛争解決を行い、利用者保護の充実を図るものであります。また、金融ADR制度においては、利用者保護の観点から、金融機関に金融ADRの利用を義務づけるとともに、資料提出や結果尊重などの片面的な義務を課しており、これにより金融ADRにおいて紛争解決が実効的に図られるものと考えております。 |
| ○谷口委員 |
金融ADR、この実効性がやはり一方で進むように、先ほども申し上げましたようにぜひまた努力をしていただければというように思います。 それで、今度は資金決済に関する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。 銀行間の資金決済では全国銀行内国為替制度がその中核を担っておって、昭和四十八年の全銀システムの稼働開始によるオンライン化が実現して以来、利用規模が拡大をしてきておるということがございます。全銀システムは、オンラインで銀行間決済を当日中に完了するという決済システムであって、世界でもこのような例は余りないというようなことを聞いております。実態は、いわば公共インフラと言えるような大変重要な制度でございますけれども、民間が中心でやっておったというようなところがございます。 今回のこの法案では、銀行の資金決済に果たす重要な役割にかんがみて、公正性、透明性が高く、ガバナンスの安定性を考慮して、内閣総理大臣の免許制としたというような内容でございますね。実際には、東京銀行協会、これは特例民法法人ですけれども、当該免許を取得して金融庁の監督を受けることを予定されております。いわば公共的なインフラであることを認知したというようなことになるのではないかと私は思っております。 それで、まず初めにお伺いいたしたいのは、金融庁は、この全銀システムの効率性、安定性、また公共インフラとしての重要性、このシステム自体の信頼性の検査を行う必要があるのではないか、このように考えております。どのようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。 |
| ○内藤政府参考人 |
お答えいたします。 委員御指摘の資金清算機関でございますが、今般のこの法案によりまして免許制としているほか、免許付与後は、資金清算業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、その業務や財産の状況について立入検査、業務改善命令等の監督上の措置を講じることができるというふうにされているところでございます。 それから、システムの信頼性とかあるいはバックアップ体制といった点についての言及がございました。 資金清算機関につきましては、我が国における重要な資金決済インフラとして、御指摘のようにシステムの信頼性の確保やバックアップ体制の整備を図ることが重要と考えております。このため、本法案では、資金清算機関の業務方法書におきまして資金清算業の継続的遂行の確保に関する事項の記載を義務づけまして、万一システム障害等が発生した場合のバックアップ体制の整備や業務継続計画、いわゆるBCPと呼んでおりますが、この策定を求めることとしております。 これらバックアップ体制の整備や業務継続計画の策定につきましても、システムの信頼性の確保等と同様、資金清算機関に対する立入検査や業務改善命令等の監督上の措置を講ずるに当たって、これは重要な視点になるということと考えております。 |
| ○谷口委員 |
これは、資金決済を毎日オンラインで、当日決済ということでやられております。それで、このシステムというのは非常に重要でありまして、このシステムが混乱をいたしますと、日本の経済全体が大混乱になるわけでございます。 そういう意味において、今回、免許を付与する、内閣総理大臣がこの全銀システムに対して免許制として付与するといった以上は、このシステム全体の信頼性をまずは担保するために、そのシステムの検査を行う必要があると一つは考えておるわけでございます。 またもう一つは、これはシステム自体だけではなくて、先ほど内藤局長がおっしゃったように、バックアップシステムだとかこの周辺のところ、例えば、従来はこの全銀システムは、ワンセンターシステムということで東京にしかなかったわけでございます。ところが、例えば大きな地震が起こるといったようなときには混乱をしますので、大体大きな会社はツーセンターシステムになっていて、東京と大阪と二つ置いて、一つがダメージを受けても、こちらでバックアップができるという体制を整えておるわけでございます。 このような周辺の体制も含めて、金融庁は、安定性の観点、効率性の観点から検査をしていく必要があると考えておりますが、どのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。 |
| ○内藤政府参考人 |
先ほども若干お答えはいたしましたけれども、委員の御指摘はまさにそのとおりだと考えております。 これは、法案が成立いたしまして、実際の施行、あるいは監督検査という段階でまたさらに詳細を詰めていく必要がございますけれども、システムそのものの問題と、それからバックアップあるいはBCPの体制、そうしたことについては最近において特に重要な課題というふうになっておりますので、監督検査においての大きな一つの論点ということになろうかというふうに思います。 |
| ○谷口委員 |
非常に重要なことでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 それで、あと残る時間ちょっと大臣にお伺いいたしたいのは、今回、二十一年度補正が策定されて、総理の方から経済危機対策ということで発表されたわけでございます。これは、国費で十五兆四千億円、事業費で五十六兆八千億円ということで大変大規模な経済対策でございます。今、世界全体に金融危機が広まっております。先日の金融サミットにおきましても、世界全体で国際協調の中でこの経済危機を乗り越えていこうということでなされたもので、私は大変評価をするところでございます。 これはもろもろのところから成り立っておるわけでございますが、しかし一方で、この経済危機対策の中で、「財政の持続可能性を確保する観点から、累次の経済対策として実施される措置を踏まえ、「中期プログラム」について、必要な改訂を早急に行うこととする。」という文言が入っております。 この文言についていろいろ憶測が飛んだり、また昨日は財務省の杉本次官が、プログラムは持続可能な社会保障の構築と安定財源の確保を目的といたしており、その目的に沿った見直しが行われるというようにおっしゃっておられて、財政規律の緩和を念頭に置いたものではないということを明らかにされているというようなことでございます。 それで、中期プログラム、平成二十年十二月二十四日に閣議決定いたしました。このどの部分を改訂しなければならないのかということをお聞きいたしたいわけでございます。この二十年の十二月二十四日の閣議決定は、かなりフレキシビリティーがあるものですから、このまま置いておいても問題ないのではないかと私個人は思っております。どのあたりを大臣が改訂を必要なところだというように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。 |
| ○与謝野国務大臣 |
中期プログラムの策定以降、累次の経済対策として実施された措置や、策定時点で前提としていた経済財政状況が想定以上に悪化していることを踏まえまして、財政の持続可能性を確保する観点から、改訂が必要であると考えております。 なお、中期プログラムは、持続可能な社会保障構築とその安定財源確保を目的としているものであり、その目的に沿った見直しを考えております。また、改訂の時期には、例年六月にいわゆる骨太方針と呼ばれる基本方針によって大きな方針が示されることから、そこまでに改訂する必要があると考えております。 いずれにしましても、昨日始まりました安心社会実現会議や経済財政諮問会議でも御議論をいただきながら、できるだけ早期に中期プログラムの改訂を行うことといたしたいと考えております。 |
| ○谷口委員 | 大臣、この中期プログラム全体に対してもう一度見直すということでございますか。いろいろな分野がございますね。そのどのところを見直していく必要がある、例えば、この中期プログラムの中では第三章として「税制抜本改革の全体像」、非常にこれはいろいろ意見があったところでございますけれども、このあたりを想定しておっしゃっておられるのかどうか、そのポイントを教えていただければありがたいと思っております。 |
| ○与謝野国務大臣 |
まず、中期プログラム自体には書いておりませんけれども、一応、政府・与党は二〇一一年をプライマリーバランス到達の時点と想定しながらいろいろやってきたわけですが、この委員会でもたびたび御質問を受け、お答えをいたしましたけれども、二〇一一年の到達という努力目標はなかなか到達できないということが明らかになっております。 したがいまして、到達の時期をいつにするのか、プライマリーバランスという考え方が正しいのか、債務残高対GDP比一定という財政再建目標が正しいのか、あるいは、到達するためにはどういう道筋を通るのか、経済、特に成長率予想はどうするのか、長期金利の予想はどうするのか、歳出歳入のうち、歳出は抑制的にやるということを二〇〇六年の骨太方針で書いてあるけれども、それはいじるのかいじらないのか等をもろもろもう一度再検討しなければならないのは、何も今回の補正予算をつくったからではなく、経済、財政の状況等、あるいは世界の状況が十二月の時点とは相当大幅に変わっているということであって、やはり周りの状況が変わったことを考慮に入れた物事の考え方というものをもう一度きちんと洗い直す必要があるだろうということを考えているわけでございます。 |
| ○谷口委員 |
おっしゃるように、十二月の時点と今の時点、やはり世界の状況も大分変わっておると思います。しかし、今回は危機対策、経済対策を中心にしてこの補正をやるということでございます。やはり補正の効果を減衰させるようなことのないようにやっていかなければならない。アクセルを踏んでまたブレーキを踏むといったようなことにならないように、そこはいろいろお考えいただいていると思いますが、そのようなことを大変私自身は危惧するところでございまして、ぜひそういうようなことにならないようにお願いを申し上げたいと思います。 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。 |