第171国会

総務委員会

○赤松委員長  次に、谷口隆義君。
○谷口委員  公明党の谷口隆義でございます。
 本日は、上田知事、神野先生、二井知事、橋下知事、本当に御苦労さまでございます。ありがとうございます。
 もう御存じだと思いますが、当総務委員会は地方自治を経験されていらっしゃる委員の方も多いわけでございます。基本的に、今回、知事会の中でいろいろ議論されておられます国の直轄負担金の問題については、そんなに違和感がないという委員の先生が多分多いと思います。ですから、思いのたけを本日この参考人質疑の中でおっしゃっていただければというように思う次第でございます。
 今は、御存じのとおり、百年に一回の大不況だということでございます。今、がけから落ちるような不況になっております。国の税収もこのところ急激に少なくなってまいりました。地方の税収も、特に都道府県は所得を課税標準とする税体系が中心でございますから、今大変な状況になっているんだろうと思うわけでございます。
 そんな状況の中で、つまびらかに国の領収書を見ていくと、まさに橋下知事がおっしゃった、ぼったくりやないかと言われるようなものがあって、今その問題が大きくクローズアップされておるわけでございます。
 先ほど二井知事のお話をお聞きしますと、昭和三十四年から国の直轄事業負担金の問題についてはいろいろ知事会でも議論があったというようなお話をお聞きいたしておるわけでございます。
 まず、私の方の疑問は、どうして今に至るまで大きな行動と申しますか発言といいますか、起こらなかったのか、三人の知事の皆さんにそのことをお伺いいたしたいと思います。
○上田参考人  それぞれ都道府県の知事も、問題意識の深いところ、浅いところ、いろいろあると思っております。たまたま埼玉県は、先ほど申し上げましたように、国の直轄事業と県益が一致しておりましたので、比較的私も問題点があるかないかというような意味での強い関心を持っておりませんでした。香川県の事例を見て、初めて、これは埼玉県にもあるだろうということで職員に調べさせて、あることが判明いたしました。
 そもそも一番重要なのは、埼玉県はGDP五番目、人口五番目の県でも、地方交付税なしに食えないという制度が一番問題だというふうに思っております。歳入の構造が非常に不安定でありまして、例えば固定資産税、地方消費税についてだけ見ると、四十七都道府県の開きが二倍程度におさまっているんです。さほど差がないんです。ところが、法人二税などが入ってくると、東京都と沖縄県では六倍も開いてしまうとか、こういう問題が出ております。
 あるいは、この六年間ぐらいの地方の行革では一〇%人員の削減を行っておりますが、国は五%しかできていない。あるいは、この六年間で地方が歳出の削減を一〇%やっているのに、国は三%しかしていない。このように地方では、幾つかありますから競争の原理が働いております。しかし、国はそういう意味での競争の原理が働いておりませんから、どうしてもスリムになるのが遅いし、極めて下手だ。
 したがいまして、極力地方に税源、権限を渡すことで、競争原理の働く地方でいろいろな実験をしていただくことで、より住民に近い行政、公共サービスができる。そういうことを真摯に、やはりこれは国会の場で法律としてきちっと制度を確立していただきたい。
 今は言いわけができます。例えば地方自治体の職員の数だって、たまたま埼玉県は今一番少ないです。多いところは埼玉県の四倍あるんです、対一万人の県民に対して。こんなにあって本当にいいのかと。しかし、交付税で守られていますから、その補てんができますから、ある意味では競争が働かない。したがって、基礎的な収入をきちっと地方に与えていただければ何の言いわけもできませんから、文字どおり首長あるいは議会の才能、才覚が評価されるというような事態になると思っておりますので、ぜひそうした制度に組みかえていただきたいということを申し上げたいと思います。
○二井参考人  山口県の場合を申し上げますと、直轄事業については、やはり県の要望に沿って国の方はやっていただいているというふうに理解をしております。したがって、法律に基づいて、当然のルールとして、請求があれば払わなければいけないだろうというふうに考えておったわけであります。
 しかしながら、今思いますと、今回の負担金の中で庁舎の移転経費やら職員の退職金の支払いまでされていたということが明らかになりましたので、私どもとしても、国に払っている負担金について、内訳がないと県民の皆さんあるいは県議会で説明ができないというふうに考えて、とりあえずの措置としては情報公開をしていただきたい、そして、対等の立場で協議をしていただきたいというお願いをしておるということです。
 しかしながら、先ほどから話がありますように、この直轄事業問題というのは、単なる負担金の問題ではなくて、やはり国と地方のあり方を考える問題であるというふうに理解しておりますから、知事会としてはぜひ早く負担金を廃止してもらいたいという気持ちはありますけれども、先ほどから申し上げておりますように役割分担をしっかりした上でやっていただきたい。そうすると、少しは時間がかかるであろう。したがって、当面は、先ほど申し上げました維持管理費の負担金の廃止まではぜひやっていただきたいというのが私どもの思いでございます。
 以上でございます。
○橋下参考人  なぜ今まで負担金の問題が大きく知事会側の方から声が上がらなかったのか、地方から上がらなかったのかということなんですが、まず一点は、これは循環論法だと思うんですけれども、こういう負担金制度であるからこそ声が上がらなかった。まさに国と地方が奴隷関係にありまして、奴隷は御主人に文句は言えません。補助金制度や負担金制度が全部うまく組み合わさって、本当に職員は知事の方を向くのではなくて省庁の方を向いています。知事は任期で次の選挙でころっとかわるかもわかりませんから、省庁との関係というものを自治体の職員はずっと重視していますので、やはり御主人である霞が関の本省には逆らえない、文句を言えない。
 また、何か異を唱えると、今回は本当に知事がみんな結束してこういう動きが出せましたけれども、これは一つの都道府県だけでやっていれば確実に国から嫌がらせを受けます。大阪府もいろいろと事務レベルではあるみたいです。この補助金はつけない、この予算はつけないとかいうような話があるみたいです。ですから、そういうことで声を上げられなかった。
 ですから、一刻も早く、本当にこれだけ多くの自治体の職員が日本全国にみんな散らばっている中で、今のこの補助金制度、直轄事業負担金の制度、税財源の問題を本当に抜本的に改めないと、霞が関だけのところで決定されて、みんなそれに従うというような、そんな国の仕組みが改まらないと思いますので、僕は、今のこの制度があるからこそ声を上げられなかったということがあるかというふうに思います。
 もう一つは、地方の責任なんですが、直轄事業の負担金のこの制度のままの方が楽だというようなこともあります。今度、これは地方側で、知事側できちんと議論しなければいけないんですが、単なる税財源の移譲の話をしてしまうと、東国原知事が言われるように、都市部は税財源を移譲してもらえれば全部賄えますけれども、地方になればどうしても賄えない部分が出てきます。そこの水平調整をだれがやるかというところで、それを国がやるのか、それとも道州という別の主体がやるのかどうか、そこは本当に国の根本的なあり方を議論しなければいけないんですが、水平調整が必要であることは僕も十分理解しております。
 そこに国が全部権限を握ってしまうのか、そうではないところが、僕は、知事の協議会か、何か別の道州みたいな主体が決めるべきだとは思っているんですけれども、そこは制度のあり方ですけれども、知事側の方もこのままの方が楽だというような甘い感覚は捨てて、しっかりと責任を持って声を上げていかなければいけない時代に突入したと思いますので、我々地方も覚悟を持ってこれから地方分権を主張していきたいと思っております。
○谷口委員  ありがとうございました。
 各知事からお考えを述べていただいたわけでありますが、まさに、これは先ほど橋下知事もおっしゃったように、世界全体が今大混乱、経済的に混乱しております。我が国も、財政が非常に逼迫しておりますし、地方団体の皆さんも大変な状況でございます。こんなときにこそピンチをチャンスに変えるというところがございますので、今までのいわば惰性で流れてきたこのような制度も見直さなければならないような状態になるんだろうと。そういうような芽も出てきておりますので、国の方でも、私どもの方も、またこの議論を進めていきたいというように思っておる次第であります。
 そこで、次の問題として、これは神野先生にお伺いしたいわけでありますが、先ほど非常にわかりやすいお話をいただいて納得できたんですが、知事会の協議項目の中に国と地方の役割分担の明確化ということがございます。これは先ほどから出ておりますけれども、国では、例えば国土の基幹ネットワークを形成する道路、国土保全上または国民経済上特に重要な河川など、国が責任を持つべき事業に縮減し、その他は地方に移譲すべきだ、こういうようにおっしゃっておるわけでございますが、具体的な問題として、本来、この道路が国土の基幹ネットワーク道路なのか、国土保全または国民経済に大きく資するものなのか、このようなところが議論をしないとわからないといいますか、非常に恣意性が入るといいますか、こういう部分もあるんだろうと思うんです。
 まあ、事前協議ということでおっしゃっておられるわけでございますが、このような観点で、今、いわば非常に簡略化された形で、国が三分の二、地方が三分の一というような負担関係を決めておるわけでありますが、こういうような形になったときに事前協議がどのように有効に働き、住民の目線から見て恣意性のないような形になるのかというようなことの御意見がございましたら、神野先生にお伺いいたしたいと思います。
○神野参考人  どうもありがとうございました。
 私は、どれを直轄事業でやるのかを選定するということは、事前協議でやる事項ではなく、これは国会といいますか、国民の総意として意思決定をすべきものだと思います。
 すべての道はローマに通じると言いますが、これはローマ帝国を統合していくためには全国的な道路網が必要だということを意味しているわけですね。もちろん枝葉の道路もありますけれども、基幹的に日本国民が全部統合して共同の事業としてやるべき事業は何か、これは事前協議ではないというふうに思います。
 ただ、これが直轄事業だと決まったときに、現在の制度を残すのであれば、つまり、地方に利益があるのだから幾ばくか負担しろというのであれば、そこについては事前協議をすべきではないかというふうに考えている次第でございます。
○谷口委員  わかりました。
 次に、先ほども出ておりましたが、今回、国の直轄負担金の問題で、香川県の知事の方から、香川では、四国地方整備局が香川河川国道事務所の改修費の三六%、七億円を県に説明せず工事費に紛れ込ませていた、また、国交省の出先機関で使っていたマッサージチェア購入費まで我々の払う負担金の中に含めていたのかと。このような問題の指摘があって、その後、橋下知事がぼったくりバーだとか、また、北海道の知事は議会に説明ができないと。当然だと思います。このようなことがきっかけで、これは国民の皆様にも大変大きな関心が持たれたわけでございます。
 あとは、維持管理費、工事単価の高さ、このようなことが今大変問題になっておりまして、実は、私、このことも聞こうと思ったんですが、質問時間がもうないようでございます。
 きょうおいでいただきました三人の知事さん、また知事会の皆様は、全般的にこんな問題意識を持っていらっしゃるわけでございます。こういうときに、それこそいろいろな協議をしていただきまして、行動に移していただいて、私どもも、私どもと申しますか、私個人も全く違和感はないわけで、私どももそういう方向でさせていただきたいというように思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。