| ○赤松委員長 |
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。 |
| ○谷口委員 |
おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。 本日は、大変重要な法案だと思っております。消防法の改正法ということで、そもそもこの法律案の端緒になったことは、一昨年、平成十九年八月、奈良県内で、未受診妊婦が奈良県と大阪府の計九病院に受け入れを断られ、約三時間後に大阪府高槻市内の病院に搬送中に死産となった事案がきっかけで、今回、この救急患者のたらい回しが国民各般の関心を集め、社会問題化したということがこの法案の一つのきっかけだということでございます。その後もこのような事案は後を絶たず、国民の不信感はますます高まっておるというような状況がございます。 今回のこの法案、改正法は、傷病者の搬送及び受け入れの迅速かつ適切な実施を図るため、都道府県が傷病者の搬送及び受け入れの実施基準を定めるとともに、実施基準に関する協議会を設置しようとするものであるというようなことでございます。 今申し上げた状況の中で、先日、東京消防庁へ行ってまいりました。東京消防庁でいろいろなお話をお伺いし、救急体制の現場のコントロールの中心のところを見てまいったわけでありますが、現場は大変一生懸命やっていただいておるわけでございます。 しかし、このような問題が起こっている。このようなたらい回し、一般的にたらい回しと言われておりますが、この救急患者のたらい回し事件は断じて起こすわけにいかない。何とか対応していかなければならない。国民は非常に関心を持っておるところでございます。この救急体制、また受け入れ医療機関、このようなところは日々一生懸命やっていただいておるわけでありますが、この体制に問題があるならば早急に解決をしていかなければならない、このように思う次第でございます。 それで、今回の法改正が、このような救急患者のたらい回し、今起こっておるような現状を解決できるような方向にあるのかという観点で質問をさせていただきたいと思っておるわけでございます。 まず初めに、平成二十年度中の救急搬送における医療機関の受け入れ状況等実態調査の結果というのが、これは平成二十一年三月十九日の日付で出ておるわけでございます。これを見ますと、二十年度中の救急自動車での総搬送人員は四百六十六万人いらっしゃったというようなことでございます。 この中で、救急搬送における照会回数、問い合わせをして四回以上で受け入れられた、四回以上となったケースが、いろいろなケースがありますけれども、一つは、重症以上傷病者の場合は一万四千七百三十二件ということで全体の三・六%。それで、照会回数の最大照会回数を見ますと、四十九回なんですね。これは東京で起こっておりますが、四十九回。また、最長現場滞在時間が二百四分、これは千葉です。このような状況がある。 また、産科・周産期傷病者の場合は、七百四十九件、四・六%です。最大照会回数が二十六回、最長百三十四分、こういうようなことでございます。 小児の場合は、照会回数が四回以上にわたった場合が九千百四十六件、全体の二・八%ある。最大の場合は照会回数三十回、これは東京でございます。最長の現場滞在時間が百一分、これは埼玉でありますが、このような状況になっておるということでございます。 このような受け入れに至らなかった理由がこの調査結果の中に記載されておりますが、これを見ますと、例えば重症以上の傷病者の場合は、手術中だったとか患者対応中だったというのが二一%、ベッドが満床だったというのが二〇・〇%、処置困難であったということが二二・三%、専門外であるということで断られたのが一一・九%、医師が不在であったということが四・一%、初診でかかりつけ医でないということで〇・三%断られている、理由不明が二〇・四%、このような状況になっておるわけでございます。 先ほど申し上げましたように選定困難事案、要するに照会をしてなかなか受け入れができなかったというのは、首都圏もしくは近畿圏という大都市部に多く見られるというような状況がございます。病院数が多くて、医師の数が多い、このような大都会でむしろ断られている、受診を拒否されているというようなことが多いということでございます。 もちろん、このようなことは地方においては、むしろ地方の病院なら他の搬送先がないということで断られない可能性が多いと一般的には言われておるわけでございますが、例えば空きベッド情報がすぐにわかるというような状況になれば、救急患者のたらい回しが少なくなるというようなことが言われておりますが、実態とこのようなことについてどうお考えになっているかということを消防庁にお伺いいたしたいと思います。 |
| ○岡本政府参考人 |
お答えいたします。 今委員御指摘いただきましたように、円滑な救急搬送を確保するためには、医療機関の受け入れ可能情報を迅速に入手するということがまことに重要なことだというふうに考えております。そういう意味で、空きベッドの情報というのは一番重要な情報であろうというふうに考えております。 現在、消防本部で救急医療情報システム等も利用しておられますけれども、それを利用されていないところはどういう理由かというようなことをお伺いいたしますと、そういう空きベッド情報がリアルタイムではないとか、その情報の信憑性が低いといったようなことも御指摘をいただいております。 こんなことを踏まえまして、今御指摘のように、この空きベッド情報を的確にリアルタイムでできるだけ入れることによって選定困難事案といったものは減らしていけるのではないかというふうに私どもも考えておりまして、今回の消防法改正の中でも、都道府県が策定いたします実施基準におきましては、「傷病者の受入れを行う医療機関の確保に資する事項」ということを定めることにしておりますが、その中で、救急医療情報システムの入力の迅速化といったことにつきましても、ぜひ消防機関の立場から医療機関にいろいろな改善を申し入れるといったようないわば議論のやりとりを通じて、少しでもリアルタイムの情報を入れることによって選定困難事案を減らせるというふうにこの運用がいきますように私どもも取り組んでまいりたいというふうに考えております。 |
| ○谷口委員 | 先ほども受け入れに至らなかった理由が何点かあったわけですが、その中で、理由不明その他というのが二〇%程度あるわけでございます。これは大体どういうような状況なのか、教えていただきたいと思います。 |
| ○岡本政府参考人 |
お答えいたします。 今、委員御指摘いただきましたように、先ほど挙げていただきました専門外でありますとか医師不在以外の理由として、理由不明その他として二〇%ほどの理由を挙げておられる例がございます。これにつきましては、例えば受け入れ照会で、要するに医療機関側から応答がなかったといったようなもの、それから、複数の医療機関に同時に受け入れ照会を行って、他の医療機関に決まってしまったというようなものなどが含まれているというふうに考えておりますし、また、そういう御意見がございます。 また、この調査と同時に、昨年の十二月に東京消防庁管内で医療機関の受け入れに関する詳細調査を実施いたしましたが、その際に、今委員御指摘の理由不明その他というような区分に該当するような例として挙げられておりますのは、傷病者側の事案としての急性のアルコール中毒でいらっしゃるとか、過去に受け入れることによっていろいろな問題があったというような傷病者の事案について、受け入れ照会回数あるいは現場滞在時間ともに全体平均を上回るというようなことも調査の結果として出ておりまして、そういうものが選定困難事案となりやすいという傾向が見られております。 今後とも、これらの要因、できるだけいろいろな要素についての調査分析を行いまして、その対策を検討して、少しでも受け入れ選定困難といったものがなくなるように図ってまいりたいというふうに考えております。 |
| ○谷口委員 |
この受け入れ選定困難事案をなくしていかなければなりません、今、長官がおっしゃったとおりでございます。 しかし、この理由の中に入っておらないものがあるわけでございます。これは、病院であるとか医師が訴訟リスクを恐れて、非常に治療困難な患者の受け入れをやらないというようなことが従来から言われておりまして、このような訴訟リスクはますます現在高まっておるわけでございます。例えばこのようなことで受け入れ拒否が行われているといったような場合、どのような解決の方法があるのか、きょうは厚生労働省からおいでいただいておりますので、お伺いをいたしたいと思います。 |
| ○榮畑政府参考人 |
医療機関における搬入拒否の原因の一つとして、訴訟リスクに対する懸念があるというふうにかねてから指摘されておるところでございます。 これに対応するため、厚生労働省といたしましては、医療死亡事故の原因究明や再発防止を図る仕組みをつくる必要があると考えており、昨年、医療安全調査委員会の第三次試案及び大綱案を公表し、検討を重ねておるところでございます。 また、医師一人当たりにしますと、訴訟件数が最大の産科につきましては、脳性麻痺となったお子さん及びその家族の方の経済的負担を補償し、事故原因を分析し、将来の同種事故の再発を防ぐということを考え、紛争の防止、早期解決及び産科医療の質の向上を図るために、産科医療の補償の仕組みをことし一月からスタートしたところでございます。 今後とも、こういうような取り組みを重ねて、医療リスクの軽減、また、それに対するさまざまな取り組みを進めてまいりたいと思っておるところでございます。 以上でございます。 |
| ○谷口委員 |
この訴訟リスクというのは非常に深刻な問題であります。これが根底にあるならば、なかなか体制を整えても受け入れが円滑に行われないというようなことがございますので、これは早急に厚生労働省所管で対応をしていただきたいと思う次第でございます。 次に、これは平成二十年十月に東京都立墨東病院でやはりこのようなたらい回し事件があったわけでございますが、八病院に受け入れを断られて、妊婦が出産後亡くなられたという事案がありました。 この八病院の断った理由は、一つは医師が不足しておるということと、もう一つは新生児特定集中治療室、NICUが不足しておった、このようなことが原因だと言われておるわけでございますが、医師が不足しておるとかNICUが不足しておるという理由であるならば、早急にこれに対応できるような問題ではないのではないかと思うわけでありますが、厚生労働省、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。 |
| ○榮畑政府参考人 |
昨年十月の東京都における今御指摘の事案につきましては、NICUの不足や産科医の不足が原因の一つというふうに考えられておるところでございます。 その中で、特にNICUにつきましては、これまでもその整備を進めてきたところでございますが、近年、低出生体重児の増加等によって足りなくなっているというような御指摘もいただいております。また、産科などの診療科につきましては、医師不足が深刻な課題となっておるというふうに認識をしておるところでございます。 このため、平成二十一年度から大学医学部定員を過去最大の八千四百八十六名としたところでございますが、厚生労働省といたしましても、平成二十一年度から、NICUの設置を指定要件とします総合周産期母子医療センターの運営に対する支援を拡充したところでございますし、NICUを有する地域周産期母子医療センターへの運営費の支援、地域で出産を支えていただいている産科医等々の方に対する手当や休日、夜間の救急医療を担う勤務医の手当に対する支援、さらには臨床研修修了後の後期の研修で産科を選択するお医者さんの手当に対する支援等、新しい政策を積極的に取り組んでいるところでございます。 今後とも、このような対策を進めていって、周産期医療の充実というのをさらに進めていかなければならないと思っておるところでございます。 |
| ○谷口委員 |
病院の勤務医の労働条件は大変過酷でございます。そのような過酷な状況の中で、病院経営は大変厳しい状況にあるというわけでございますが、このような入院費用が不当に安過ぎるだとか病院の経営が非常に困難であるといったようなことが一つ原因に挙げられておるわけでございますが、診療報酬の抜本的な改定の必要があるのではないかというのがまず第一点でございます。 もう一つは、救急告示病院の補助金が、受け入れ件数によって配分されておらないということもあるようでございます。救急告示病院になりながら件数が非常に少ないといったような病院も、多く受けておる病院も、補助金に変わりはないというようなことも問題なのではないかということがございます。 これについてお伺いをいたしたいと思います。 |
| ○榮畑政府参考人 |
地域に必要な医療を確保する等の観点から、今御指摘の入院医療を適切に診療報酬上評価していくことは大変重要なことだと考えております。 このために、平成二十年度の診療報酬改定におきまして、地域の急性期医療を担う医療機関の入院医療の引き上げとか、事務作業を補助する職員の配置等を行ったところに対する評価の新設、さらには勤務医負担軽減計画が計画されている場合の評価の新設等を行って、その評価の充実を図ったところでございますが、今後とも、次期診療報酬改定におきましても、関係者の御意見を十分お伺いしながら、さらに適切な対応を進めてまいりたいと考えておるところでございます。 それとともに、救急告示病院に対する財政支援、補助金のことでございますが、これまで救急告示病院のうち重篤な患者を二十四時間体制で受け入れています救命救急センターにつきましては、平成二十一年度予算におきまして補助事業を大幅に拡充したところでございますが、その仕組みといたしまして、重症患者の受け入れ実績等を反映した仕組みとしておるところでございます。 ただ、一方、救急告示病院のうち、二次救急医療機関に対する補助事業につきましては、平成十七年度に地方自治体に一般財源化されておりまして、厚労省が直接その配分を取り決めることはなかなかできないところでございますが、平成二十年七月の厚生労働省内の救急医療の今後のあり方に関する検討会でも、救急患者の受け入れ実績に応じた支援を行うべきということをちょうだいしておるところでございまして、今後、市町村に対しまして、輪番制に対する財政支援につきましても、救急患者の受け入れ実績等が反映できるような仕組みがとれないか、検討していただけないか、よく御相談していきたいと思っておるところでございます。 以上でございます。 |
| ○谷口委員 | 大臣、一言だけ、今回のこの法案でたらい回しが解決できるかどうかということだけおっしゃっていただきたいと思います。 |
| ○鳩山国務大臣 |
たらい回しというような残念な現象を限りなくゼロに近づけるためにこの消防法の改正をお願いしているわけでございまして、実際に、もう既に答弁ではあったかと思いますが、平成九年と十九年の十年間を比較いたしますと、救急隊が現場に到着してから病院に収容するまでの時間が約六分半ぐらい長くなっているということは、それは搬送先がなかなか決まらないということに一つの大きな原因がある、それをなくすためにこの法案を提出したわけでございます。 ただ、きょうも、先生も今厚労省に対して質問されておられますように、消防という分野だけでは解決できない、医療全体の問題というのがあることは率直に認めなくちゃいけないわけだし、それは救急医療を担う医師の不足が問題ではあるし、あるいはいろいろな勤務条件、勤務環境が厳しいという問題はあるわけです。 それから、これは国民のいろいろな意識の高まりがあって、救急搬送人員が十年間で五割ふえているという実態もございます。また、これは私の分野では全くありませんが、医療訴訟に対する医師側の危惧の問題とか、解決をしなくちゃならない問題は幾つかほかにあると思いますが、それらと政策が組み合わさっていく中でたらい回しがゼロに近づくことを願っております。 |
| ○谷口委員 | 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。 |