第171国会

総務委員会

○赤松委員長  次に、谷口隆義君。
○谷口委員  公明党の谷口隆義でございます。
 三人の参考人の先生方、本当に御多用の中、出席をいただきましてありがとうございます。
 先日、私、総務委員会の理事ということもありまして、有馬のかんぽの宿を視察してまいりましたが、今のかんぽの宿のグループの中では一番古くて、昭和三十八年にスタートしたところでございます。それで、黒字が出ておる数少ないところなんですね、有馬というのは。ロケーションもいいということもありますし、施設も見せていただき、また、従業員の皆さんのやる気みたいなものもお話を聞かせていただいて、非常に参考になったわけであります。
 私自身も、郵政民営化の委員会にも入っておりまして、その中でいろいろな意見を表明させていただいたことがあるわけでございますが、きょうは特に事前に質問を想定しておったわけではなくて、先ほど三人の参考人の皆様方がおっしゃったことを念頭に入れてお伺いをいたしたいと思います。
 まず初めに、先ほどの質問にもありましたけれども、郵政民営化、またその分社化、これに対する評価が一体どうなのかということをお聞きしたいと思うんです。
 今お聞きしておりますと、井手参考人の方は、英国では壮大な実験が行われたみたいなこともおっしゃっておられまして、やり方が問題だ、もし悪ければ修正する必要があるだろうと。
 しかし、基本的には、郵政民営化というのは一つ避けられない方法なんだというように私は考えたわけでありますが、民営化するかどうかというのは、おっしゃったような国民の利便性と、あとは継続可能性というのがあるんだろうと思うんですね。幾ら国民が評価したものであっても、出血しながらずっと生き続けるというのはなかなか難しい話でありますから、そのことが二つの重要なポイントになるんだろうと思うんです。
 そういうことを念頭に入れていただいて、今、井手参考人はもうお伺いをいたしましたので、田尻参考人、町田参考人から、この郵政民営化、また分社化の評価についてお話をいただきたいと思います。
○田尻参考人  分社化そのものにつきましては、先ほど私も申し上げましたが、いわゆる日本郵政グループというのは典型的なサービス業でございます。したがいまして、サービス業の分社化というのは、製販分離というのはそもそも自己矛盾的な部分を持っておりますがゆえに、その分社化の方法についてはより深い検討、見直しが必要であるというふうに考えております。
 さらに、金融二子会社と郵便事業会社、郵便局ネットワーク会社との立場は、ビジネスモデルだけではなくて、ユニバーサルサービスのあり方そのものでもやはりやり方を変えないといけない。必ずしもこの四つの子会社が、今は並立した形で存在をしておりますけれども、この間の利害相反という問題が既にこのグループの中でも表面化しつつあるわけでございます。
 そういう点で先生の御質問に答えるといたしますと、やはり四社が並立で並んでいる状況というのは変えるべきであると私は思います。郵便事業会社と郵便局会社を分離しておくことの必然性というのは、私は、感じないどころか、むしろ今害の方が表面化してしまっているということで、これは一体運用であるべきだと思います。
 では、一体運用すればいいかというと、問題は何も解決しないわけでございますので、まず、郵便の最低限のユニバーサルサービスは維持しなければなりません。
 私は、持論といたしまして、ベーシックな、基礎的な金融サービスについても、ユニバーサルサービスを保障するのは国家の責務だと考えておりますので、その両者の間で利害相反が表面化しないようにするためには、郵便事業会社なりネットワーク会社を一体化したものの子会社として金融二社を位置づける。つまり、ドイツも当初は並立しておりましたけれども、それをポスト会社の下に郵貯会社を持っていったわけでございます。やはり、そういう方式に基本的には変えていくべきだと私は考えております。
○町田参考人  お答えします。
 民営化が必要であったかどうかという点ですが、必要であったし、遅かったぐらいだと思っております。
 実は、私、日本経済新聞の記者をやっていまして、一九九四年と五年に郵政クラブにおりまして、当時、郵便事業等を取材しておりました。当時は信書の独占というものが強かったんですけれども、それがメール便なんかの形でどんどん崩されておりますので、ある意味ではその競争力も失われてきていまして、民営化のタイミングとしてはむしろ遅かったぐらいだと思っています。
 それから、四分社化についてでございますが、我々が公開資料で持っているのは中間決算のデータですけれども、日本郵政グループ全体で、中間決算で二千二百億ぐらいの最終利益が出ていますけれども、千五百億以上をゆうちょ銀行で稼いでおりまして、その他はかなり厳しい状況になっています。
 申し上げましたように、郵便事業は既に赤字に転落していまして、先の展望があるのかどうか、これは非常に難しい問題があります。それから、一見利益が出ているように見えます郵便局会社ですけれども、実は、中間期直前の八月、九月にゆうちょ銀行から特別な手数料の支払いが、通常月八十億ぐらいのものを、八、九月だけ百八十億強それぞれ払い込んでもらって、辛うじて二百億の黒字を維持していますから、この中身を見ていきますと、実態的には郵便局会社も赤字であったと見るべきだと思います。
 ですから、この四分社がワークしているかということでありますと、かなり際どいし、ワークしていない。四社中二社は実質赤字、一社は完全な赤字だし、もう一社は実質赤字に転落しているのではないか。この状態ではユニバーサルサービスの維持も非常に難しいのではないかと思っております。
○谷口委員  ありがとうございました。
 先ほど町田参考人は非常に的確にいろいろおっしゃったわけでありますが、お話を聞いておりましたら、かんぽの宿の経常赤字のことを言及されていましたね。二年で半分ですか、このところ急激に経常赤字が減少してきたではないかということをおっしゃられたんですね。
 それと、最近のディスクロ誌のことをおっしゃいましたね。民営化後のディスクロ誌が、ページ数から見ても非常に薄くなったんじゃないかという話を参考人はされたわけでありますが、これは一体どういうことなのか。その原因ですね。
 いろいろあるんだろうと思うんです。一つは、民営化して、将来上場しようとすれば、やはり物を言う株主が出てきますよね。今までであれば国が所管していましたから、国の所管のもとでやっておりましたから、一般的にどの程度それが経営に緊張感を与えたのかというのがあるんだろうと思うんですね。ところが、民営化が進んでまいりますと、どうしても物を言う株主が出てまいりますから、そうなってまいりますと、オーバーディスクローズというのはなかなかやっていかないということになりますね。
 ところが、先ほど申し上げた、かんぽの宿の経常収支のトレンドでいいますと、経常赤字のトレンドでいいますと、やはり経営に緊張感を持たなきゃいかぬのじゃないかというように持ってこられたんじゃないかというところもあるんだろうと思うんですね。僕は分析も何もしていませんが。
 このところ急激に経常赤字が減ってきたというのは、どのようにお考えですか。
○町田参考人  実は、細部について、先ほど時間がなかったので申し上げておりませんでして、赤字が急激に減っているのは公社時代でございます。
 ベースが変わってしまいまして、民営化後は営業収益段階の赤字、黒字の収支しかとれないんですが、それだけ見ますと、民営化後の半年を含めた二〇〇七年通期は、民営化後の初年度は通年で四億一千九百万の赤字です。ところが、二年目のことしは、どうも四十六億円ぐらいの赤字になっている模様です。
 つまり、西川さんになって、民営化になってからの方が、再び悪化しているというのがかんぽの宿の収支ではないかと思っています。
 以上でございます。
○谷口委員  わかりました。
 私は、根底的に、経営というのは緊張感が必要ですから、周りから常に見られているというのは、過度の緊張感はよくないですが、ある程度の緊張感というのは非常に重要なんだろうと思うところがあります。
 それと、井手参考人が、国鉄の民営化は今回の郵政の民営化とは若干質的に違うんじゃないかというようなことをおっしゃったと思うんですね。国鉄の場合は二十八兆円の債務があって、二十兆円を六十年間一般会計で払い続けているというようなお話があったわけでございますが、そうしますと、先ほどおっしゃったので私は聞かなかったんですが、もう一度、そういう観点からの民営化、分社化について、わかりやすく、郵政民営化についてどういうようにお考えなのか、お伺いいたしたい。
○井手参考人  JRの件ですけれども、巨大な債務残高があったという中で民営化を実施しなければいけない。したがって、そういう意味では郵政の民営化というのとは質的に違うものである。
 というのはどういうことかというと、先ほど自民党の遠藤議員からもありましたけれども、郵政の場合には独立採算制でやっていて、もしそこで巨額な赤字が出ていて、その中で民営化し、効率化をし、そしてサービスを向上させるという目的で民営化をしなければいけないというのとは状況が違うという点で、国鉄の場合の例を引き合いに出したのであります。
 したがって、そのときに、JRの場合には旅客会社と貨物会社に分ける、そして、貨物会社については非常に赤字体質であったものをどうするかということが議論された。
 それと同じように、郵政の場合には、四事業に分けて、そして郵便局会社というインフラを持たせる、そのインフラの会社というのは、先ほど発言のときに申しましたけれども、手数料でやるというビジネスモデルではなかなか将来的には非常に厳しいというのが、これはイギリスあるいはアメリカの経験が教えるところであるということで、その民営化の説明をしたわけであります。
○谷口委員  次に、田尻参考人がおっしゃったことなんですが、かんぽの宿を売却して、その売却資金が一体どうなるのか、赤字の会社のために使われておるじゃないか、こういうことは本来好ましくなくて、特定の目的、例えば地方に流すとか、資金管理の問題も考えていかなきゃいかぬのじゃないかとおっしゃったわけであります。
 一つは、今、膨大な国の赤字がございますので、例えば国家公務員の宿舎をどうしようかというような議論がありました。稼働しておらないような国の資産は処分した方がいいんじゃないかと。国民の皆様に負担をお願いするということより、むしろ削れるところは徹底して削っていくというようなことがあったわけであります。そういう観点で、今回のかんぽの宿といいますか、もし不採算のところがあればこれを処分して、国の財政の不足のところにこれを充当していくということも一つの方法なんだろうと思うんです、そこでとどまるということじゃなくて。
 まあ、いろいろなことをおっしゃったことは私自身もよく理解するところもありまして、株主資本主義というのは、私も賛成しておりません。会社法は変わりましたけれども、従来のいわゆる商法の時代の法体系の方が私はすばらしいと思っておるんですが、最近、株主資本主義とおっしゃったんですけれども、ちょっと行き過ぎた傾向があることはありますが、この財源の問題でそこまで考えなきゃいかぬのかということをちょっと御答弁お願いしたいのです。
○赤松委員長  田尻参考人、恐縮ですが、簡潔にお願いします。
○田尻参考人  売却そのものに私は反対しておるわけではございません。しかしながら、その売却の動機が、いわゆる資本回転率を上げる、市場の評価を得んがためにかんぽの宿を無造作に売却するという、その発想そのものが今問われているんだということを申し上げたわけでございます。
 それから、御承知のように、日本郵政グループは二兆八千億円の不動産を所有しておる巨大な企業グループでございます。これはすべて国民の資産でございます。したがいまして、これを彼らに勝手気ままに処分させることがあってはならないわけでございまして、私どもは、審議会の場におきましても、繰り返し、監督当局に対して国有資産の売却プロセスについては忠実に、着実にフォローをしていただきたいと。
 それから、現在、日本郵政グループ全体をだれがトータルで見ておるかと申しますと、監督官庁は実はどこなのかがわかりません。七つないし八つの官庁がそれぞれの権限で関与なさっているだけでございまして、そういう意味でも、トータルで日本郵政グループのあり方を考える当局というものもぜひお考えをいただければと願っております。
○谷口委員  どうもありがとうございました。