| ○近藤(洋)委員 |
何でこんなことを確認したかというと、要するに、商工中金の基本的な位置づけにかかわる問題ですから、あえて確認をしたんです。 要は、やはり極めて商工中金というのは、御答弁にもあったように、民営化後も中小企業金融の中核を担う、これは法律にも書いているわけですから、中核を担うわけであり、かつ中小企業金融というのは、やはり経済政策の一つの根幹というか大事な部分なんですね。したがって、政府の意思というのを非常に受ける金融機関であるのが商工中金なんですよね。 要は、それにもかかわらず一〇〇%株を放出するというふうに政府はいまだに言っているので、あえて申し上げたいと思うんですが、基本的に、一〇〇%株を売却した完全民営化後に、まず資本の大部分を占める準備金を返還するというのは、本来、経営の安定上も考えにくいことは事実です。 だけれども、これは一方で、普通の経営であれば、大手の銀行がそうであるように、いや、中堅銀行もそうであるように、政府の出資金というのはできる限り返上しようというのが民間企業の当然の行動でもあるんですね。したがって、各大手金融機関なり中堅金融機関も、政府の資本注入というのをできるだけ、それは優先株であっても、早く返済しよう、早く返済しよう、このように行動するわけです。とりわけ準備金についてはこうした性格があるわけですから、できるだけくびきから解き放たれようと思って返還したいと思うのも、これは経営の思いとしては出てくるのが想定されるわけであります。 なぜなら、この危機対応準備金が積まれている以上、それに相応した、比較的それに対応した、採算性のとれない危機対応業務からなかなか足抜けできないという状況にもなるからなんですね。要は、景気が回復した局面でも、どうしても厳しい融資を引き受けざるを得ないということになるから、商工中金経営陣は、本来、株主のことを考えて、経営のことを考えたら、この準備金を返上したい、こういうふうにくるわけですけれども、これが、今の御答弁のように、あうんの呼吸でなかなかしにくい環境にあることが完全民営化後でも明らかになっているわけです。 だとすると、いわゆる完全民営化後の商工中金にあって、危機対応業務と経営というのは、やはり民間経営というのはどうしても二律背反するものが出てくると考えるわけですが、ここは、法案提出者、どのように整理をされておるのですか。 |
| ○谷口委員 |
近藤先生のお尋ねでありますが、先ほどおっしゃった、長谷川長官の方からもお答えをいたしましたが、危機対応準備金は、民間でも公的資金を注入したところがあるわけです。それで、本来なら、資本に注入するというのが一般的であります。政投銀ではそういう形にしているわけですね。ところが、ダイリューションといいますか、五三%余りを民間株主が持っておるということでございますので、そのような希薄化を避けるという意味で、今回、危機対応準備金というものを設けたわけであります。 そういう意味では、やはり民営化する場合には政府株を売却いたしますから、売却をして政府の出資分を回収するというのは一般的であります。危機対応準備金も、商工中金がしっかりと財政基盤が整った段階で、国庫に返還をしていただくというようなことは、そういう意味では整合的な考え方だと思うわけです。 それで、今おっしゃったような、商工中金は公的な役割を担っております、先生のおっしゃるように。また、一方で、完全民営化を目指して、収益性をまた図っていかなければならない、高い収益性を得なければならない、こういうバランスを考えていかなきゃいかぬということは、先生のおっしゃるとおりであります。そういうこともございまして、法案の附則の第三条におきまして、今後の業務の状況等を見きわめた上で、検討を行って、必要な措置を講ずるというようなものを入れておるわけでございます。 |
| ○近藤(洋)委員 |
先生御答弁のとおり、バランスが重要だ、そして、必要な措置を講ずることをしておるんだ、こういう話でありますが、そういうことであれば、ぜひまた改めてここの場でお伺いしたいんです。 そこで、同じような完全民営化議論について、政投銀、政策投資銀行についても法改正が今議員立法で提案されて、財務金融委員会で審議をされています。こちらについては、やはり同じように、政策金融の意義、必要性にかんがみて、政府出資を一部残す方向で与野党間で修正の議論が進んでいるやに仄聞をしております。これはある意味では当然の帰結であって、まさにバランスでありますから、そのバランスをとるということから考えても、政府出資をある程度残すというのは一つの知恵なんだろう、私はこう思うんですね。 ぜひお伺いしたいのですが、とりわけ中小企業のための金融機関として、商工中金というのは、業務がある程度枠がはめられており、かつ、株主も、基本的には中小企業者と関係者ということで株主制限も受けているわけですよね。ですから、極めて政策的な色彩の強い金融機関である。民営化企業のよさも経営の効率性も取り入れながら、かつ政府の政策の意思決定もある程度円滑に反映させるという意味においては、準備金というものが政府の出資であるけれども、これは返しても返さなくても、それは基本的には商工中金の意思で決まるものですね。だけれども、株は、売るか売らぬかは政府が決めることができるわけですから、持ち続けるというのは政府の意思で決めることができる。 こういうものをやはり一部残すということは、バランスということからかんがみても、私は決しておかしな話ではない、いやむしろ、この時期においては残すということをきちんと明確にした方が、この時点において正しいのではないか、このように思うのですが、法案提出者、いかがでしょうか。 |
| ○谷口委員 |
お答えをさせていただきます。 商工中金は、今回完全民営化、もう既に民営化の手続に入っております。その段階で、既に、経営の自由度を高めるということ、例えば、預金は限定されておりましたけれども、この預金の受け入れについての制約も大分自由度が増しておりますし、員外貸し付けだとか組合員に対する一定程度の規制がありましたけれども、これも取り払われて、こういう観点では非常に経営の自由度が増しておるわけであります。 そういう意味で、完全民営化の利益を享受しているという意味においては、この中小企業金融を旨とする商工中金は、私は政投銀が今どんな状況になっておるか聞いておりませんが、若干政投銀と異なるのではないかというように思っておりまして、我々は、完全民営化をやるべきということで、今させていただいておるわけであります。 |
| ○寺田(稔)議員 |
今の御答弁に若干の補足をさせていただきます。 御承知のとおり、今回の政策金融改革、この中小企業金融を担う分野として、日本政策金融公庫、これはかつての中小企業金融公庫あるいは環衛公庫、農林漁業金融公庫もございます、この部分と商工中金、この両者で担っていこうということであることは御高承のとおりです。 商中については、この完全民営化という流れの中でフルバンキング機能を強化していく。しかも、既に過半数の民間株主がおられます。したがって、民間の公募増資の形で民間から資金調達をする、増資を行うということも可能になってくる。しかも、専ら政策金融を担う日本政策金融公庫、これの存在もあるわけでございます。したがって、政投銀と一律に論ずることはできないものと思料しております。 商中については、先ほど梶山提出者からお答えしたとおり、中小企業の二万一千四百社を超える顧客がいるというふうな中で、足元の危機に対して量的補完でもって対応するとともに、中小企業向けフルバンキングをさらに充実させていくことが、中小企業の資金供給の円滑化と、そして利便性の向上につながるものと考えております。 |
| ○近藤(洋)委員 |
私は、別に商工中金のフルバンキング機能を否定するつもりもないですし、どんどん機能を拡充されたらいい、こう思っているんです。 ただ、言わんとしていることは、業務もある程度、中小企業金融の根幹の事業をやってもらうということで法律で明記されている金融機関であり、株主も中小企業関係者に限定されている金融機関ですよね。かつ、これだけ実態的には危機対応準備金というものをずっと積まれ続けている金融機関ですよね。この金融機関が政府と連携をしてより機能を発揮するためには、三分の一でも二五%でも構いませんが、私は、政府出資を残すということをきちっと明確にした方がはっきりしてわかりやすい。なぜ、完全に一〇〇%株を売ることにそこまでこだわりになられるのか。 私は、これは政府のメンツという話じゃないと思うんですね。これは別に、政策というのは時として変わっていくわけでありますから。この民営化を議論したときには、我々も賛成をいたしました。我々も賛成したんですよ。あのときには、やはりこういったサブプライム問題だとか、ここまで金融が傷んでいるとか、こういった問題は想定していなかったわけです。だけれども、ふたをあけたらこんな状況になっていたということが明らかになったわけですから、ここはそういった道を残すということを、それこそ政治の、だから議員立法で出されたんじゃないんですか。政府の閣法だったら、なかなかこれは容易じゃないですよ。だから議員立法で出されたんだと私は解釈しているんですね。ですからこの議論をさせていただきたい。 民営化の予算なりフルバンクのこと、これまで与党の先生方が議論されてきたこと、我々がこの経産委員会で議論してきたことを何も全面否定するわけじゃないんです。道を残していこうじゃないかと。そして、そのことが商工中金の経営の現場にとっても逆にプラスになる、私はこう思っているから主張をしているわけであります。 再度伺う前に、中小企業庁長官、こういう中途半端な状況が続いて、果たして、私が商工中金の現場の職員なり経営陣、中間管理職だったら、あっ、政投銀は政府が三分の一残ったな、商工中金は、仮に今の議員立法のまま通ったとしても、いずれ政府出資が残るのかな、その道が六割、七割ぐらい高いんじゃないかな、こういうふうに思いますね、はっきり申し上げて。だって、ただでさえ準備金も残っているわけだし、これはどう見ても、逆に政府出資が最終的には残るんじゃないかなと疑心暗鬼に私は思う。 ですから、こういった中途半端な立法が逆に起きた場合、商工中金の現場なり、民営化、政府は現在そういう立場でしょうから、仮に完全民営化を進めるというのであれば、この三年間、具体的にどういう民営化プロセスを組むタイムテーブルをつくられているのか、それとも完全に凍結されるのか。凍結した結果、私は、現場に対する大変な逆の意味でのマイナスの影響があるかと思いますが、それらについて中小企業庁長官はどのように認識しているのか、お答えください。 |
| ○長谷川政府参考人 |
お答え申し上げます。 まず、商工中金のガバナンスについてでございますが、これは商工中金に限ったことじゃないわけでございますけれども、公的機関のガバナンスというのは、私ども、国会から権限を許されて、法律をいただいて監督をできるというやり方、それから、今御指摘ございましたように、政府が株式を持って、株主として意思決定に参画するというやり方、いろいろあると思います。 商工中金も今は株式会社でございますので、株主の方が御自分で意思決定をされて、そしてそれを政府として、こういう言葉がいいかどうかわかりませんけれども、本来の使命からしていささかどうかなというときに申し上げる、あるいは極端な場合は監督権となると思います。したがいまして、中小企業のために中小企業の方が株主になる、株主は中小企業の方に限定するというのは、現行法及びこれまでの審議からしても、基本的にはそういう理解だと思います。 したがいまして、株主である中小企業の方が一次的に御自分で御自分たちのガバナンスをした上で、それで政府が、あるいは国がそこにどういうような関与をするかというやり方も十分あるんだと思っています。 現実論に戻しますと、今は制度的には株式の売却というのは行っても違法じゃないわけでございますけれども、こういうような厳しい業況でございますし、今、政府株式を売ることが甚だ困難だということで、当面はとまるんだと思っております。そして、今御指摘ございましたように、いろいろな状況の変化があるだろうということでございますので、今回、提出者の先生方から御提案いただいて、御審議いただいておりますこの法案の附則の第三条に、先ほど御紹介ございました「検討」という条文があるわけでございます。 現場職員はどうかということでございますけれども、現場職員は、民営化として、その方向にあることを前提に、さまざまな機能の拡充、自由化ということを、先ほど御答弁がございましたようなことを進めております。それでもなお、経済の情勢が変わりますので、いろいろと大変な局面は現場の方にはあるんだと思いますけれども、そこは、商工中金の職員は中小企業のためにしっかり仕事をするという高い使命意識を持っておりますので、そういった困難は乗り越えて、国会等々からお許しをいただいた範囲で使命を十全に果たすということで対処しているものだと承知しております。 |
| ○近藤(洋)委員 |
長官はそういうふうに答えざるを得ない、こういうふうに思いますので、別にそれ以上の答えをもう望みませんが、私は大変混乱をすると思いますね。片っ方で、同じ政府系金融機関で二つに対応が分かれるというのは、それぞれの金融機関の性格は違うというのは承知した上で、やはり現場ではそういうふうには受けとめないということは指摘をしておきたいと思います。 また、きょうはまだまだ議論が深まるところでしょうから、与党の先生におかれましては、政府出資を残すという道をこの場で、この時点で明確にするということは、私は、前に進めるという意味で、これは決して後退ではなくて、前に進める、新しい時代に対応したんだということであるという観点から、ぜひ引き続き与野党間での協議を進めていただきたいということを申し上げたい、このように思います。 次に、産業革新機構についてお伺いをしたいと思うんですが、本法案では、新たに政府保証枠、補正予算で八千億円、金融機関から株式会社産業革新機構が借り入れる場合に政府保証をつけるということが盛り込まれておるわけであります。 このスキームですけれども、前回の改正案、政府提出法案の際には、どちらかというと、産業革新機構が出資するのはベンチャー支援、新たなイノベーションを起こすということの創設でありましたけれども、しかしながら、今回の政府出資の保証枠八千億円というのは、この経産省の説明資料にもこう書いているんですね。収益が悪化する中、技術、事業の選択と集中を迫られている、これを放置しておくと、これまで蓄積していた技術、ノウハウが散逸するおそれがあると。要するに、こういった技術の選択と集中を応援するためにこの八千億円という大きな枠をつくった、こう書いているんですね。 すなわち、事業再構築の支援は、今度は、経営が悪化した企業の救済策だ、こういう色彩が非常に色濃くなったと考えますが、法案提出者、いかがですか、こういう認識でよろしいですか。 |
| ○梶山議員 |
産業革新機構は、当初から、三つの類型に対して投資するものと想定をして国会でも審議をされてきております。一つ目が事業化の初期段階、ベンチャーのようなものでありますけれども、二番目が事業の成長段階、そして三番目が事業の再編段階ということで、この三つの類型で想定をしてきておりまして、すべての事例に当てはまるわけではありませんけれども、一番目の事例に関しましては、金額としては大体数億円程度、二番目の類型に対しましては数十億円程度、三番目の類型に対しましては大体数百億円程度の規模が予想されるのではないかと思っております。 このうち、第三番目の類型の大型の案件が出てくる可能性が増大をしてくることに今回の改正は対応するものでありまして、この第三番目の類型で、例えば水市場において、大企業等に埋もれていた膜技術、水処理装置や水道事業の経営ノウハウなどを切り出して、統合して新会社をつくるような前向きな事業再編型事業ということで考えておりまして、機構の趣旨を変えるものではないものと思っております。 また、産業革新機構が支援決定に当たって従うべき支援基準として、投資対象になる企業等の事業活動に将来性があり、新たな付加価値の創出につながること、そして二つ目として、投資決定後、一定期間後に取得した株式等の売却による資金回収が見込めること、三番目として、投資事業全体として長期的な収益性が確保されること等が想定をされておりまして、機構が経営の悪化した企業の救済を行うことにはならないものと思っております。 |
| ○近藤(洋)委員 | そうすると、この新しい政府保証の枠組みは、本来退出すべき事業であるとか企業を温存するための制度ではないということでよろしいですか。 |
| ○谷口委員 |
おっしゃるとおりであります。 これは、先ほど梶山提案者がおっしゃったように、企業や大学などに分散した技術を集約する新事業に対する成長資金として供給するものでありまして、後ろ向きの資金でいいますと例えば政投銀だとか、もっと抜本的にやらなきゃいかぬものは企業再生支援機構だとか、そういう立て分けをいたしますと、今回の産業革新機構は、非常に優秀な技術を持った将来性のある企業、長期的に収益が認められるというようなところに投資をするということであります。 |
| ○近藤(洋)委員 |
そうであればいいな、こう思うわけでありますけれども、ここの経産省の文言にも、何となくにじみ出ているんですよね。放置しておくと技術、ノウハウが散ってしまうと、非常に微妙な表現なんですけれどもね。もちろん前向きではあるんですけれども、このままだと企業全体が、まあ難しいんです。ある総合企業がありました、幾つかのいい技術はあります、だめな技術もあります、だけれども、だめな技術でもB社とくっつければよくなりますと。それはある意味では、本来なら沈み行く総合会社を切り分けることで救うという結果になるわけで、表向きはAとBの会社の技術を組み合わせることで新たなイノベーションという形で看板はできるんだけれども、実は結果としては、本体の総合会社を救うということになるわけですよね。ですから、線引きというか、将来性とは何ぞやとかいうものが非常にこれはなかなか難しいな、こう思うわけであります。 そこで、お伺いしたいんですが、この出資の具体的な判定はだれがするのか。革新機構の革新委員会でというふうに聞いていますが、それでよいのか。あともう一点、この決定の最終責任者ですね。株式会社革新機構の社長さんなのか、それとも経済産業大臣なのか、所管大臣なのか。最終責任者、決定者はだれがやり、そして最終責任はだれが負うのか、法案提出者、お答えいただけますでしょうか。 |